浸出液の流れる方向
こんにちは。
東大阪市 布施駅前 岸川医院の岸川です。
さて、前回書いていた「擦り傷に市販のバンソウコ貼ってたら、かえって治りが遅い」理由ですが。
バンソウコには小さなガーゼがついていますよね。
浸出液(キジル)が出ている傷にバンソウコを貼ると、あっと言う間にガーゼ全体が浸出液でべそべそになります。
浸出液で飽和したガーゼにはもう液体を吸い上げる能力は無く、傷から出た浸出液はガーゼと傷の間を行ったり来たりします。
川もずっと流れていたら淀みませんよね。せき止めて流れが止まると淀むのです。
傷も同じで、ずっと同じ方向に流れがあれば細菌感染はしにくいです。流れが止まって、その場を行ったり来たりしていると細菌感染が起こるのです。
バンソウコに付いているガーゼでは無く、大きなガーゼを何枚か傷に当てたとしましょう。
傷から出る浸出液はガーゼに吸い取られます。しかし、ガーゼの量がバンソウコに比べて多いのでべそべそに飽和したりしません。
すると、傷から出た浸出液はどんどんガーゼに吸い取られて、ガーゼに移った浸出液も飽和するより前に蒸発して傷に戻ることはありません。浸出液が一方通行で出て行く流れが出来ます。
浸出液が出ている傷に小さなガーゼしかついていないバンソウコを貼る事は、わざわざ傷の上に細菌の培地を貼り付けているようなものです。薬局には滅菌ガーゼも売っているので、余裕のある量のガーゼで対応されるほうが良いでしょう。
ただ、最近よく使う方法はガーゼではなく「サランラップ」だったりします。
これもまた次回、お話しますね。