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患者さんのニーズ

[2014.05.13]

こんにちは。

東大阪市 布施駅前 岸川医院の岸川です。

 

日々、患者さんと話をしていて、つくづく「患者さんのニーズ」と「医者のニーズ」ということを考えさせられます。「患者さんのニーズ」と「医者のニーズ」に温度差があると、患者さんに満足していただける医療にならないと思うのです。

 

たとえば、胃痛の患者さんが来院されたとしましょう。

その患者さんが診察室に入られた瞬間には、「とりあえず薬だけ出して欲しい」のか「胃がんが心配」なのか、「患者さんのニーズ」を医者のほうは解らないのです。

 

これに対して、「医者のニーズ」とは、「本当に胃の痛みなのか?」「胆のうや膵臓や心臓からの痛みではないのか?」「胃潰瘍はできてないか?」「出血はないか?」「腫瘍はないか?」など、まずは診断に向けて見落としがないことに終始します。

 

純粋に診断することだけを目的にするならば、検査は避けられません。通常の診察だけで完全に診断がつくこともゼロとは言いませんが、検査の補助は必須です。

 

しかし、「経過が長くない」「出血などの緊急を要する徴候がない」「症状が激烈でない」などのいくつかの条件を満たせば、全ての患者さんに最初から胃カメラを受けていただかなければならない、とまでは思いません。

「昨日からちょっとみぞおちが軽く痛む」なら、まずお薬だけで様子を見てもらうことも間違いではないでしょう。

 

もちろん、その考え方にリスクはあります。軽い症状で経過が短いからと言って、だばだば出血している胃潰瘍を否定できる訳じゃないからです。しかし、「とりあえず薬だけ欲しい」と思っている軽い症状の患者さんに「胃カメラ受けてもらわないと薬だけなんて出せない」という態度は、「患者さんのニーズ」と「医者のニーズ」が離れ過ぎています。

医者側が歩み寄って「患者さんのニーズ」に極力合わせる努力が必要だと思います。

 

では、「1ヶ月前から胃が痛くって、便が真っ黒」という患者さんが「とりあえず薬だけ出して欲しい」とおっしゃったら、医者の立場としてはこのまま薬だけで様子を見ることがいかに危険なことなのかを説明して、検査を受けてもらわなくてはいけません。患者さんに納得してもらって歩み寄ってもらう必要があります。

 

どうしても温度差が埋まらないこともあります。説明が足りないのだろうなぁと思います。

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