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盲腸の手術適応

[2017.08.29]

こんにちは。

東大阪市 布施駅前 岸川医院の岸川です。

 

虫垂炎の話の続きです。

 

虫垂炎を手術せずに抗生剤投与で経過観察、俗に言う「盲腸を散らす」時の注意点の話です。

お腹を診察させていただくと、虫垂の外側、つまり腹膜にまで炎症所見が出ているかどうかが解ります。

その炎症所見のことを「腹膜刺激症状」と言うのですが、腹膜刺激症状が出ている場合に「散らす」のはかなり危険です。

 破れていない虫垂炎を手術する場合、(体格にもよりますが)数センチの傷で虫垂摘除術をおこなうことが出来ます。さらに、腹腔鏡による手術ならば、もっと小さな傷で済みます。

しかし、「その小さな傷を避けるために無理やり散らす治療を試みたところ、結局敗れてしまって、もっと大きな傷、たとえば十数センチ切らざるを得なかった」では何をやっていることか解りません。

 

すでに腹膜刺激症状が出ている場合には、そんな確率も高くなります。

 

特に小さなお子さんの時は注意が必要です。

大人の虫垂炎では、「夕方に腹膜刺激症状がなくて翌日になったらいきなり破れていた」という方はあまりいらっしゃいません。

しかし、お子さんの場合は、腸の壁も薄いためなのか、「前日に軽く痛むだけだったのが、一晩明けるといきなり破れて腹膜炎がお腹全体に広がっていた」なんてことがそれほど珍しく無いように思えます。

なので、お子さんの場合は大人に比べて、どうしても軽症の段階から手術を勧めざるを得ません。

 

結論を言いますと、「大人の方で、まだ腹膜刺激症状が出ていない虫垂炎の患者さん」ならば、「頑張って散らしてみましょうか?」と相談します。それ以外の方は、大事を取って念のため手術を勧めてしまいがちですね。

 明日も続きます。

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